自作アプリの開発は、ビジネスの可能性を広げる魅力的な選択肢です。しかし、開発にはさまざまな費用がかかります。
この記事では、自作アプリ開発に必要な費用を詳しく解説します。費用を抑えるコツもご紹介しますので、自作アプリの開発を検討中の方は参考にしてください。
目次
自作アプリ開発に向けた準備にかかる費用
自作アプリ開発を始める前の準備段階では、以下のような費用がかかります。
- パソコン(OS)の購入費用
- 教材の購入費用
- サーバー費用
- ドメイン費用
それぞれみていきましょう。
パソコン(OS)の購入費用
まずは、アプリを開発するためのパソコンを準備する必要があります。開発に使用するパソコンはアプリの動作環境に即したものでなければなりません。
また、実際にアプリの挙動を確認するためにも、作成するOSにあわせてiPhoneやAndroidを用意する必要があり、ここでも費用がかかります。
なお、すでに条件を満たしたパソコンが社内にある場合は、新たに購入する必要はありません。
教材の購入費用
アプリ開発には専門的な知識が必要です。そのため、社内でアプリ開発部門を設けるために、知識習得に向けた教材の購入や、スクールへの入会費用が生じることもあります。
書籍であれば一冊3000〜4000円程度です。プログラミングスクール等へ通う場合には、授業の形式や内容に応じて20万〜50万円程度かかることがあります。
サーバー費用
Webアプリやハイブリッドアプリを稼動させるためにはサーバーが必要です。サーバーには、以下の3種類の選択肢があります。
- 物理サーバーを保有する
- レンタルサーバー(共有サーバー)を利用する
- クラウドサーバーを利用する
それぞれの特徴と相場についてみていきましょう。
物理サーバーを保有する場合
物理サーバーの場合、サイズに応じて値段は前後しますが、一般的な小型サイズのものならば10~30万円程度です。
また、自社で物理的にサーバーを保有する場合、以下のような周辺機器や、維持管理、メンテナンス費用などが発生します。
費用の種類 | 相場 |
周辺機器(ルーター・UPS・端末など)の費用 | ルーター:1万円~5万円前後 UPS:3万円~8万円前後 |
OSやソフトウェアの設定費用 | 3万円~30万円前後 |
ネットワークの設計・構築費用 | 10万円~40万円前後 |
物理サーバーは、セキュリティ面や稼働の安定性がメリットです。その一方で、3種類のサーバータイプの中で最も高額となりやすい点に注意が必要です。
レンタルサーバー(共有サーバー)を利用する場合
レンタルサーバーは、サーバーのレンタルサービスを行っている会社に月額料金を支払うことで利用ができるサーバーのことです。
サービス事業者がメンテナンス管理したサーバーを使用するため、導入時にはすでにある程度設定されていることもあり、導入のハードルが低い点が特徴です。
無料でレンタルできるものもあり、月額無料〜3000円程度で利用可能です。ただし、高速度・大容量などの機能面を重視する場合には価格が高くなるケースもあります。
クラウドサーバーを利用する場合
クラウドサーバーとはネットワーク上に設置されたサーバーのことです。容量やスペックを柔軟に設定できることから、近年注目を浴びています。
サーバーのハードウェア導入費用やメンテナンス費用、セキュリティ対策費用などが不要という利点があります。
料金体系には従量課金制と、リザーブドインスタンスの2種類があります。
料金体系 | 特徴 |
従量課金制 | ・利用(保存)した容量に応じて料金を支払う料金体系 ・数GB程度であれば無料で利用できるサービスもある ・稼働しないタイミングは停止することでコストを抑えられる |
リザーブドインスタンス | ・1年や3年など長期の利用を決めておくことで、利用料金に対して割引が適用される料金体系 ・長期利用が分かっている場合にはお得 |
ドメイン費用
ドメインを別の会社に移す「移管作業」を行う場合にも、移管費が生じます。移管費はドメインの種類や会社によって異なりますが、おおよそ1,000円〜5,500円程度が相場です。
ドメインの種類 | 新規取得費用 | 更新費用 |
.com | 0~2,000円 | 2,000~4,000円 |
.net | 0~2,000円 | 2,000~4,000円 |
.jp | 350円~4,000円 | 2,600円~6,000円 |
自作アプリの開発にかかる費用
アプリの開発段階では、以下のような費用が発生します。
- 開発ツール
- セキュリティ対策
これらの費用は、アプリの規模や機能によって大きく変わる可能性があります。ここでは、一般的な費用の目安を見ていきましょう。
開発ツール
フルスクラッチを除き、アプリ開発には開発ツールを利用するのが一般的です。アプリの開発ツールには様々なタイプがあるため、どのツールを利用するか、どの手法を選ぶかに応じて費用相場は異なってきます。
下表は、個人でアプリ開発を行う際に用いられる2つの手法について、その特徴と費用相場をまとめたものです。
ツールの種類 | 特徴 | 費用相場 |
ノーコードツール | ・専門知識がなくても、ドラッグ&ドロップやコードの選択など、直感的な操作でアプリ開発が可能 ・開発期間・費用を短縮したい場合や、専門知識がない場合に有効な選択肢の一つとなる ・拡張性、パフォーマンスなどが低い点には注意が必要 | 3万~10万円 |
パッケージ(テンプレート)ツール | ・あらかじめ用意されたテンプレートやフレームワークを活用して開発を行う手法 ・既存のシステムを組み合わせて開発するため、開発期間が短く、費用も比較的安価 | 100万~数千万円 |
それぞれのツールの特徴を理解し、自身が求める機能性と費用感のバランスを踏まえたうえで、ツールを選択するとよいでしょう。
SSL化費用
アプリのセキュリティ性を保持するためには、SSL化を行う必要があります。SSL化とは、ネットワーク上の通信情報を暗号化し、第三者による読み取りを防ぐことで、セキュリティ性を高める仕組みのことです。
SSL化する際に発生する費用には、SSLサーバー証明書の発行と作業手数料の2種類があります。
証明書発行の種類 | 特徴 | 費用相場 |
ドメイン認証型 | ・申請者のドメイン使用権をもとに証明書を発行する ・三つの中で最も安価 | 0円~数千円 |
企業認証型 | ・第三者情報をもとに企業の法的存在を確認し、証明書を発行する | 4~15万円 |
EV認証型 | ・世界基準のガイドラインに基づいた現瀬名審査を行い、証明書を発行する | 5~20万円前後 |
自作アプリを開発した後に発生する費用
アプリの開発が完了し、リリースした後も、以下のような費用が継続的に費用が発生します。
- 保守費用
- OSアップデート費用
- 不具合対応・追加機能開発費用
これらの費用を事前に把握し、長期的な予算計画を立てることが重要です。
保守費用
サーバを運用するうえでかかる負荷を管理したり、災害などでデータが損失するなどのトラブルが発生した際の保守管理も必須です。
保守費用は、サーバー構築費用の10~15%が相場となっています。たとえば、サーバー構築費用が40万円だった場合、保守費用は4万~6万円程度が見込まれるでしょう。
OSアップデート対応費用
アプリをリリースしたのち、IOSやAndroidなど媒体のアップデートが実施された場合には、バージョンに対応できるよう、アプリ自体のアップデートを行う必要があります。
OSアップデートへの適応を怠った場合、数年後にはダウンロードできなくなるなど不具合が発生する可能性があるため、アップデートの都度、アプリを対応させる必要があるか確認することが重要です。
不具合対応・追加機能開発費用
アプリに不具合が発生した場合の対応にかかる費用や、新機能の開発にかかる費用など、突発的に発生する費用も確保しておく必要があります。
不具合の対応は、問題が重大であれば総額で数百万程度かかる可能性もあります。
また、ユーザーにアプリを使い続けてもらうためには、新たな機能の追加が必要な場合もあるでしょう。追加機能開発費用は、顔認証によるログイン機能や、決済システムの導入、地図アプリやSNSとの連携機能などが挙げられます。機能によって数万円〜数百万円程度がかかります。
自作のアプリ開発における費用面のメリット・デメリット
自作でのアプリ開発には、費用面でのメリットとデメリットがあります。ここでは、それぞれについて詳しく解説します。
自作でアプリ開発する際の費用面のメリット
自作でアプリを開発する費用面のメリットとしては、主に以下の2つが挙げられます。
- 開発費用を抑えられる
- 全ての収益が自社のものになる
開発費用を抑えられる
アプリを自作で開発すれば、外注した場合に発生する費用を抑えられます。
開発を外部に委託する際には、委託費用や人件費など様々な費用が発生します。さらに、途中で仕様を変更したり、機能を追加したりなどで工数が増えると、そのたびに追加費用が発生するため、当初の予算を超えることも珍しくありません。
自社でアプリ開発を行えば、人件費、委託費を抑えられるほか、追加で費用が発生することがなく柔軟に対応できるため、予算に合わせた開発が可能です。機能やデザインの追加・変更など、細かな部分までコストをコントロールできます。
全ての収益が自社のものになる
アプリ開発を外注すると、契約によっては収益のいくらかを支払う必要があります。しかし、アプリ開発を自作で行えば、アプリによって発生した収益は全て自社で獲得できます。また、アプリ内に広告を掲載することで別口の収入源の確保も可能となります。
自作でアプリ開発する際の費用面のデメリット
自作でアプリを開発する際の、費用面でのデメリットは以下のとおりです。
- 結果的に多額のコストが必要になる可能性がある
- 収益化のハードルが高い
結果的に多額のコストが必要になる可能性がある
コストダウンを期待して自作でアプリ開発を行った場合、結果的に総額が高くなってしまう可能性がある点に注意が必要です。
自作でアプリ開発を進めるには、プログラマーの雇用や開発ツールの購入など開発コストが必要です。また、アプリをリリースした後も、先にあげたようにサーバーの維持費やバグの修正費用、アップデート費用など継続的なコストが発生します。
先に挙げたように、細部のコストコントロールはしやすいものの、結果的に総額が高くなる可能性がある点に注意が必要です。
収益化のハードルが高い
アプリを収益するためには、ダウンロード数の確保が欠かせません。しかし、外部に委託したアプリに比べると、自作したアプリはダウンロードされにくい傾向にあります。結果的に、開発費用を回収しきれない可能性もあるでしょう。
まずはアプリを認知してもらうために広告掲載などのPRを行う必要があります。しかし、広告出稿にもコストが生じます。
確実にユーザーを取り込むためには、ダウンロードすることによってユーザーにどのようなメリットがあるのか、差別化ポイントなどを明確にしたうえで、PRを行うことが重要です。
一方で、社内向けのアプリ構築である場合には、アプリのダウンロードによる収益は発生しません。
個人でアプリ開発の費用を抑える3つの方法
個人でアプリ開発を行う際に、費用を抑えるための方法をいくつかご紹介します。
費用がかからないジャンルを選択する
ショッピングアプリではSNS関連機能や会員データ管理機能、メディアアプリでは多言語対応機能など、アプリに搭載されている機能は、アプリのジャンルによって異なります。
各機能の作業費用はその種類によって異なるため、高額な作業費がかかる機能が必要なジャンルのアプリほど、開発費用も高額になりやすいです。
そのため、自作するアプリの開発費用を抑えたい場合には、機能の作業費がかからないジャンルを選択するのも一つの手段です。特にBtoC向けアプリの開発を検討している際には気を付けたいポイントのひとつといえるでしょう。
主にアプリに搭載されている機能と必要な作業費用の目安は以下の通りです。
アプリの機能 | 作成費用の目安 |
ログイン機能(メールアドレス) | 20〜50万円 |
会員データ管理機能 | 50〜100万円 |
プッシュ通知機能 | 10万~100万円 |
多言語対応機能 | 各言語1つにつき4万円〜15万円 |
アプリ内課金機能 | 20万円〜50万円 |
位置情報機能 | 10~25万円 |
他社ツール連携機能 | 5万円〜 |
デザイン作成機能 | 10万~100万円 |
要件・仕様を明確にしたうえで開発を進める
アプリ開発に着手しはじめてから予定外の工数が発生すると、突発的に出費が発生することになり、結果的に開発費用が予算オーバーになる可能性があります。デザイン変更、不要な機能の開発、あいまいな要件定義による修正等で工数が増えるケースが多いです。
事前にアプリ開発の要件を社内で話し合うことで、工数や機能が明確となり、余計な開発工数を減らせます。そのほか、最低限必要な機能を開発したらアプリをリリースするのも、開発工数を減らすためのよい方法です。
まとめ
自社でアプリ開発をすると、外注委託に関するコストを抑えられるほか、デザインや機能追加の際の細かな部分のコストコントロールが可能です。また、収益も自社のみで独占できるというメリットがあります。
ただし、結果的に開発費用総額が高額となったり、収益化までのハードルが高いといったデメリットもあります。
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